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10.1 概要

ここではi-Triggerの概要について説明します。

10.1.1 i-Triggerの特長#

i-Trigger(アイトリガー)は、製造業におけるチョコ停を監視するSpeeDBee Synapseの拡張パッケージです。
設備におけるドライブレコーダーのような機能を提供します。製造ラインに異常が発生した際に、各種コンポーネントが収集したデータから、異常発生前後の数値データ、カメラで撮影した動画データを自動的に切出し指定のファイル書式で保存します。

概要図

処理概要

① 周期参照でPLCからデータ収集

トリガー検知および記録対象となるデータをPLCから取得します。

②任意デバイスからデータ取得

PLCだけでなく、各コンポーネントから収集したデータもPLC同様にトリガー検知等に利用できます。

③トリガー検知

収集したデータが、事前設定した条件に合致するとトリガー検知として切り出し処理が行われます。

④任意デバイスデータの切り出し

トリガー検知後に、事前設定した記録範囲に従って、対象のデバイス(ネットワークカメラやPLCの収集データ)のデータを切り出しします。切り出ししたデータは専用のビューワで参照できます。

専用ビューワ

i-Triggerには、切り出したデータを閲覧するための専用ビューワが搭載されています。下図で示すように、障害発生時の動画と収集データを同時再生できる特長があります。

概要図2

動画と収集した様々なデータを同時刻のものを可視化することによって、データと事象の関連性の解析に役立ちます。

概要図3

10.1.2 i-Triggerのご利用にあたって#

i-Triggerは、SpeeDBee Synapseの拡張パッケージであるため、利用にはSpeeDBee Synapseの本体が必要となります。そのため、SpeeDBee Synapseと同様の環境で動作します。詳細は、実行環境を参照してください。

10.1.3 i-Triggerの記録仕様#

ここでは、i-Triggerの記録仕様について説明します。 記録仕様について、少々複雑なため、詳しく確認したい場合に参照してください。

「イベントトリガ」で「開始イベント」のみを設定している場合

イベントトリガで、開始イベントのみを設定している場合、記録区間の考えは次のとおりです。

パターン1 パターン1

  • 基本記録時間を0分としています
  • イベント発生前の取得範囲、イベント終了後の取得範囲にそれぞれ5秒を指定
  • 開始イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない

このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。イベント発生前後の記録を5秒としているため、約10秒間イベントが記録されます。

パターン2 パターン2

  • 基本記録時間を1分としています
  • イベント発生前の取得範囲、イベント終了後の取得範囲はそれぞれ0秒を指定
  • 開始イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない

このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。イベント発生してから、約1分が記録される範囲となります。

パターン3 パターン3

  • 基本記録時間を1分としています
  • イベント発生前の取得範囲、イベント終了後の取得範囲にそれぞれ5秒を指定
  • 開始イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない

このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。この場合は、基本記録時間+イベント前後の範囲が記録されるため、約70秒間イベントが記録されます。

パターン4(イベントの延長) パターン4

  • 基本記録時間を1分としています
  • イベント発生前の取得範囲、イベント終了後の取得範囲にそれぞれ5秒を指定
  • 開始イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない
  • 初回のイベント成立から、30秒後にイベントが再び成立

このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。基本記録時間の区間内で、再びイベントが成立したため、イベントが延長されます。この場合、最初のイベント成立区間30秒+2回目のイベント成立からの基本記録時間(60秒)+発生前後10秒となるため、約100秒間イベントが記録されます。

「イベントトリガ」で「開始イベント」、「終了イベント」それぞれを設定している場合

イベントトリガで、開始イベント、終了イベントそれぞれを設定している場合、記録区間の考えは次のとおりです。基本的な考え方は、開始イベントのみ設定した場合と大きくは変わりません。

パターン5 パターン5

  • 基本記録時間を1分としています
  • イベント発生前の取得範囲を10秒、イベント終了後の取得範囲を5秒に指定
  • 開始イベント条件、終了イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない
  • 開始イベント成立から、30秒後に終了イベントが成立

このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。イベント発生前10秒+終了後5秒+イベント開始から終了までが30秒となり、約45秒間のイベントが記録されます。基本記録時間に達する前に、終了イベントが成立したため、記録時間は1分より短くなります。

パターン6 パターン6

  • 基本記録時間を1分としています
  • イベント発生前の取得範囲を10秒、イベント終了後の取得範囲を5秒に指定
  • 開始イベント条件、終了イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない
  • 開始イベント成立から、1分経過しても終了イベントが成立しなかった

このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。イベント発生前10秒+終了後5秒+イベント開始から基本記録時間の到達までとなり、約75秒間のイベントが記録されます。基本記録時間以内に、終了イベントが成立しなかったため、記録は打ち切られます。この場合、終了イベントが記録区間を超えて成立しても無視されます。

パターン7(イベントの延長) パターン7

  • 基本記録時間を1分としています
  • イベント発生前の取得範囲を10秒、イベント終了後の取得範囲を5秒に指定
  • 開始イベント条件、終了イベント条件はRaiseとして一度成立した後、条件が未成立にならないと連続では条件成立しない
  • 開始イベント成立から、30秒後に開始イベントが再び成立、そこから35秒経過して終了イベントが成立
このパターンで記録される範囲は、「イベントの記録範囲(青背景色部分)」となります。イベント発生前10秒+発生後5秒+最初のイベント成立区間30秒+次のイベント成立からさらに35秒までとなり、約80秒間のイベントが記録されます。基本記録時間以内に、開始イベントが再び成立したため、基本記録時間は延長されます。

イベントの延長について

イベントの延長については、最大15分の上限があります。15分以上イベントが延長された場合は、その続きは新しいイベントとして記録されます。

イベントの条件種別について

ここまでの説明はすべて、イベントの条件種別を「Raise」としています。この場合、値の立ち上がりが条件となるため、記載したパターンの動作となります。条件種別を「True」などにしている場合は、条件成立中は常にイベントが延長されることに注意してください。