9. 実行ライセンス
本章は、SpeeDBee Synapseの実行ライセンスについて説明します。
9.1 ライセンスの種類#
ライセンスの種類について説明します。
現在のSpeeDBee Synapseには、3種類のライセンスが存在します。
項目 | 説明 |
---|---|
開発 ライセンス |
SpeeDBee Synapseの全機能、操作が可能なライセンスです。 システム構築は、通常このライセンスを利用します。本マニュアルは本章を除き、開発ライセンスを前提に説明しています。 |
実行 ライセンス |
SpeeDBee Synapseの一部機能が使用できる実行環境向けライセンスです。 開発ライセンスにより構築された設定を引継ぎ、複数環境で動作させることができます。 |
評価 ライセンス |
SpeeDBee Synapseを評価目的で動作させるライセンスです。 コンポーネントが起動してから、連続稼働できるのが1時間という制約があります。 SpeeDBee Synapseの購入前に、評価目的で使用するライセンスです。 |
実行ライセンスについて
実行ライセンスは、実行ライセンス単体では利用できません。最低でも1つ以上の開発ライセンスを使用して運用する必要があります。
9.2 実行ライセンス利用環境の動作仕様#
本節では、実行ライセンスを適用したSpeeDBee Synapseの動作仕様について説明します。
開発ライセンスと実行ライセンスについて、代表的な機能の可否を下表に示します。
項目 | 開発 ライセンス |
実行 ライセンス |
---|---|---|
ユーザー管理/認証 | ○ | ○ ※開発ライセンスのユーザー情報は引き継がれません |
Grafana連携 | ○ | ○ ※開発ライセンスの設定は引き継がれません |
カスタムコンポーネント(Python、C) | ○ | ○ ※手動でカスタムコンポーネントや外部モジュールを設定する必要があります |
外部制御Web-API | ○ | ○ |
アクセストークン発行 | ○ | ○ ※開発ライセンスの設定は引き継がれません |
暗号化通信 | ○ | ○ ※開発ライセンスの設定は引き継がれません |
DBクエリサービス | ○ | ○ ※設定は引き継がれますが、トークン認証は実行ライセンス側で手動で再設定する必要があります |
Run Mode | ○ | ○ |
Edit Mode | ○ | △ ※制限つきで利用できます |
パネルの追加、更新、削除 | ○ | × |
新しいコンポーネントの登録 | ○ | × |
設定済みコンポーネントの設定更新 | ○ | ○ |
設定済みコンポーネントの削除 | ○ | × |
フローリンクの追加、削除 | ○ | × |
各種ポートの設定 | ○ | × |
フィルタの設定 | ○ | × |
データモニタ | ○ | ○ |
ステータスタイムライン | ○ | ○ |
ログ | ○ | ○ |
実行ライセンス設定 ダウンロード |
○ | × |
9.3 実行ライセンスの運用方法#
本節では、実行ライセンスの運用方法について説明します。
9.3.1 運用までの流れ#
実行ライセンスの運用の流れを下図に示します。
①開発ライセンスを使ったシステム構築(開発ライセンス側操作)
最初に、開発ライセンスを適用したSpeeDBee Synapseを使ってシステムを構築します。 データ収集、出力フォーマット、データ送信・連携などのデータフローの設定を行います。 具体的な設定内容は、システムの目的毎に異なりますが、参考として、導入フローを参照してください。
②実行ライセンス設定の出力(開発ライセンス側操作)
実行ライセンスで利用予定のデータフローの設定が済んだら、実行ライセンス設定の出力を行います。この操作は、開発ライセンスを適用したSpeeDBee Synapseでのみ利用できます。
③実行ライセンス稼働環境のセットアップ(実行ライセンス側操作)
実行ライセンス向けの稼働マシンのセットアップおよびSpeeDBee Synapseのインストール等を行います。インストール後に、購入した実行ライセンスの適用を行います。これにより実行ライセンス向けの設定が適用されますが、実行ライセンス稼働環境毎の設定を必要とする場合があります。例えば、外部機器のIPアドレスの設定などは利用環境に合わせて設定を必要とする場合があります。
④動作確認
実行ライセンス稼働環境の設定が済んだら、実際にシステムを動作させます。外部機器の設定項目などの不備がないか確認します。なお、この操作では、新しいコンポーネントを追加して、新たなデータフローを設定することはできません。再設定が必要な場合、①開発ライセンスを使ったシステム構築、ならびに②実行ライセンス設定の出力を再度行い、実行ライセンス向け設定を取込む必要があります。
⑤運用・モニタリング・可視化
実行ライセンス稼働環境での運用を開始します。データフローの変更など必要になった場合は、再び開発ライセンス側での操作を行い、本手順にそって設定を変更してください。
9.3.2 簡易チュートリアル#
ここでは、実際に実行ライセンス稼働環境を構築するまでの流れを解説します。 なお、本チュートリアルでは、開発ライセンス稼働マシンと実行ライセンス稼働マシンは、同一のネットワーク内に配置されていることを前提とします。また、SpeeDBee Synapseは、それぞれインストールは事前に行っているものとします。
本チュートリアルで、利用するデータフローは次のとおりです。
項目 | 説明 |
---|---|
Aライン連携データ | PLCコレクタで集めたデータをJSON形式で、MQTTにより外部へデータ送信 |
9.3.2.1 開発ライセンスを使ったシステム構築#
ここでの操作は、開発ライセンスを使ったSpeeDBee Synapseで行います。 以降を参考に、PLCコレクタ、JSONシリアライザ、MQTTエミッタを設定してください。
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「パネル1」を選択して、右クリックメニューから「パネル設定」をクリックします。
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「パネル1」を「Aライン連携データ」へ変更して保存します。
-
PLCコレクタの設定を行います。フローエディタ左部より「PLCコレクタ」をフローエディタ中央へドラッグ&ドロップします。
-
PLCコレクタの設定値を入力して、「保存」をクリックします。IPアドレスやポート、データなどはご利用の環境に合わせて下さい。
(※もしPLCコレクタが利用できない場合、リソースコレクタなどへ置き換えて設定してください。) -
シリアライザの設定を行います。フローエディタ左部より「JSON」をフローエディタ中央へドラッグ&ドロップします。
-
JSONの設定値を入力して、「保存」をクリックします。
-
MQTTエミッタを設定します。フローエディタ左部より「MQTTエミッタ」をフローエディタ中央へドラッグ&ドロップします。
-
MQTTエミッタの設定値を入力して、「保存」をクリックします。IPアドレスやポートなどはご利用の環境に合わせて下さい。
(※もしMQTTエミッタが利用できない場合、Fileエミッタなどへ置き換えて設定してください。) -
フローリンクを繋ぎます。
-
コンポーネントを動作させます。それぞれのコンポーネントが正常に動作することを確認してください。一定時間動作させ、異常が発生しないかなどを確認します。
-
すべて正常に動作することを確認したら、コンポーネントを停止してください。
9.3.2.2 実行ライセンス設定の出力#
開発ライセンス稼働環境での設定構築が済んだら、実行ライセンス向け設定の出力を行います。
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設定メニューの「実行ライセンス設定ダウンロード」をクリックします。 このファイルを実行ライセンス稼働環境で使用します。
-
確認ダイアログで、「ダウンロード」をクリックします。秘匿情報を含める場合は、「ダウンロード」のクリック前に、「秘匿情報を含める」をチェックしてください。選択したパネルのみ含める場合は、含めるパネルをチェックしてください。また、初期の自動起動設定を指定できます。⯈(自動起動)◼(自動起動無効)
秘匿情報について
秘匿情報(例えば、Azureの接続文字列やMQTT等のユーザ名、パスワードなど)を含めて、実行ライセンス設定ダウンロードを行うと、出力ファイルに秘匿情報が含まれていることに注意してください。
また、各コンポーネントに設定した証明書のファイルおよびカスタムコンポーネントの添付ファイルも秘匿情報の扱いとなります。秘匿情報を含めない場合は、これらが出力されないため、実行ライセンス稼働マシン側で、秘匿情報を個別に設定する必要があります。
- 次のようなファイルがダウンロードされます。ファイル名の形式は、「execution_license_package_西暦_月_日.pkg」になります。
9.3.2.3 実行ライセンス稼働環境のセットアップ#
実行ライセンス稼働環境での設定を行います。SpeeDBee Synapseの「Edit Mode」にて操作を行います。
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設定メニューの「ソフトウェア情報」からライセンスキーを入力して保存します。
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メッセージを確認して問題なければ、「はい」をクリックします。
-
実行ライセンス用設定ファイルをインポートします。「インポート」をクリックします。
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実行ライセンス向け設定ファイルを選択します。
-
メッセージを確認して問題なければ、「はい」をクリックします。
-
一定時間経過後に、コンポーネントが起動します。
(※表示の確認は、「ソフトウェア情報」を閉じて確認します。)
秘匿情報を持つコンポーネントについて
秘匿情報を含めていない実行ライセンス向け設定をインポートした場合、それらの情報が含まれていないため、秘匿情報の設定を必要とするコンポーネントは、自動起動が無効になります。秘匿情報や添付ファイルについては、個別に再設定してください。
-
PLCコレクタの設定を必要に応じて変更します。開発ライセンス稼働マシンと実行ライセンス稼働マシンでは、接続先が異なる場合など設定を行います。
(※チュートリアルでは、同じネットワーク環境を前提としているため、開発ライセンス側を停止していれば変更の必要はありません。) -
MQTTコレクタの設定を必要に応じて変更します。開発ライセンス稼働マシンと実行ライセンス稼働マシンでは、MQTTブローカーへの接続情報が異なっている場合など設定を行います。
(※チュートリアルでは、同じネットワーク環境を前提としているため、開発ライセンス側を停止していれば変更の必要はありません。)
9.3.2.4 動作確認#
前項までの設定で、正しく動作することを確認します。
- コンポーネントのランプを確認します。警告やエラーがないことを確認します。問題があれば設定の見直しを行います。
9.3.2.5 運用・モニタリング・可視化#
前項までの設定で、正常に稼働できることが確認できれば運用に入ります。
モニタリング・可視化については、導入フローを参照してください。
実行ライセンスの運用チュートリアルは以上となります。
9.4 実行ライセンス稼働環境に関する注意事項#
実行ライセンス稼働環境に関する注意事項を次に示します。
注意事項
- 実行ライセンスを適用すると、実行ライセンスに従った動作モードとなり、使用できる機能が制限されます。(参考:実行ライセンス利用環境の動作仕様)
- 実行ライセンス向け設定の取込を行うと、それ以前の設定は削除されます。(カスタムコンポーネントや外部モジュールは削除されません)
- アクセストークンについては、開発ライセンス側の設定を引き継ぎません。また、実行ライセンス側で生成したアクセストークンは、実行ライセンス向け設定の取込を行っても削除されません。
- DBクエリサービスの設定は、実行ライセンス側へ引き継がれます。しかし、トークン認証に使用するアクセストークンは引き継がれないため、実行ライセンス側で設定を行う必要があります。
- 実行ライセンス向け設定で、カスタムコンポーネントやPythonの外部モジュールを使用している場合は、実行ライセンス向け設定取込前に、それらを事前に設定している必要があります。
- 実行ライセンス向け設定の取込前に、稼働マシンのストレージ容量の空きが十分であるかなど確認してください。ストレージ容量が不足した場合は、実行ライセンス向け設定の取込に失敗します。
- 実行ライセンス稼働環境において、ユーザー管理を行う場合は、それぞれの稼働環境毎にユーザー管理を行う必要があります。開発ライセンス側の設定は引き継がれません。